1950年代の音楽シーンをひっくり返した伝説の存在、Elvis Presley。5月27日は、彼が初めて全米テレビ番組に出演し、若者文化を大きく動かした時代の象徴として語られる日でもある。今では当たり前になった“スターの熱狂”は、ここから始まったのかもしれない。
1950年代のアメリカでは、音楽はまだ“大人のもの”という空気が強く残っていた。そんな時代に現れたのが、若きElvis Presleyだった。カントリー、ブルース、ゴスペルを混ぜ合わせた彼のサウンドは、それまでのポップスとはまったく違う熱量を持っていた。そして何より、人々を驚かせたのはそのパフォーマンスだった。
腰を激しく動かしながら歌う姿は、当時としてはかなり刺激的だったらしく、テレビ局には抗議も寄せられたという。でも、その“危うさ”こそが若者たちには圧倒的に魅力的だった。保守的だった時代の空気を突き破るように、彼の人気は一気に全米へ広がっていく。
特に1956年のテレビ出演は歴史的だった。白黒テレビの前に家族が集まる時代、彼の歌声と動きは画面越しでも圧倒的なインパクトを放った。レコード会社だけでなく、ファッション、映画、テレビ業界までも巻き込み、“ティーンエイジャー向けカルチャー”という巨大市場を作り出していったのである。
今でこそ、音楽アーティストがSNSでバズり、動画で世界的スターになるのは珍しくない。でも、その原点をたどると、テレビという新しいメディアを使って時代を変えたElvis Presleyの存在に行き着く。彼は単なる人気歌手ではなく、「若者が時代を動かす」という価値観そのものを象徴した人物だった。
そして面白いのは、現在のロック、ポップ、ヒップホップに至るまで、多くのアーティストが今なお彼の影響を受けていることだ。派手なステージ演出、カリスマ性、ファンとの熱狂的な一体感――その多くは、彼が切り開いた“スター像”の延長線上にある。
70年近く前の出来事なのに、いま見ても彼の映像には妙な迫力がある。時代を変える人というのは、後から振り返ると必ず「最初は批判されていた」ものなのかもしれない。